ノンデザイナーが仕事で活かすデザインリテラシーとは|失敗しないデザイン発注の教科書 Pt.3

イメージ画像|ノンデザイナー向けにビジネスに役立つ平面デザインの見立て方(デザインリテラシー)を解説します。
誰もがビジネスで必要な「デザインリテラシー」とは?
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WEBや会社案内、ポスターなどの制作をデザイナーへ依頼する際、担当者の主観的な嗜好に頼るのでなく造形理論やデザインの仕組みの基礎を理解しておくだけでもデザインを見立てるデザインリテラシーの能力を身につけることが可能です。その結果、デザイナーとの円滑な意思疎通だけでなく、社内や周囲との伝達業務や意思決定を効率的に進める効果が期待できます。

今回はノンデザイナーが仕事でデザイン関連の制作物の議論を深めるために、平面構成における基本のデザイン理論となるポイントを解説していきます。キーワードは、「デザインを読み解くための基本ルール」です。

目次

ビジネスにおけるデザインリテラシーの必要性

円滑な意思疎通を取り付けるコミュニケーション能力

デザインを制作会社へ発注して出来上がったデザイン案を決定する際に、社内で予想以上に時間が掛かったり意見が分かれることがあります。担当者の裁量で当初は採択された場合でも、後に上司や社内から異論が交わされ白紙に戻ることも起こりえます。

その原因の一つには、デザイン判断を趣味嗜好の感覚で捉える人が多く居ると考えられます。特に声の大きな人などの発言で決定が覆るような場面を実際に目にする機会があります。ビジネスの意思決定において論理的に判断するように制作物も客観的に観察し見立てる能力が重要と言えます。それが今回のテーマであるデザインリテラシーの意義です。

もしノンデザイナー(非デザイナー)である担当者がデザインリテラシーを身につけていれば、社内調整でも適切な判断軸を提示することで敏速な意志決定を取り付けることも可能になります。更にはデザイナーとの共通言語の確立でより踏み込んだ議論で納得のいく内容の仕上がりに期待が持てます。これらは全て意思疎通を円滑に進めるためのコミュニケーション能力とも言えます。

因みに”リテラシー“の意味は、特定分野のノウハウの「活用能力」です。本サイトでは、ノンデザイナーがビジネスシーンで意思疎通を円滑に進められるようになるためにデザインを判断するために重要な基本的な造形理論を中心に解説していきます。

デザインをロジカルに見立てるための3要素

押さえるべき平面構成の基本ルール

一般のデザイ担当者がデザインの見立てにおいて必要となる平面デザインの3要素を解説していきます。※「色彩」や「形状」などの”装飾としてのデザイン要素”に関する説明は他の記事に掲載します

デザインの一般的な理解を深めるために非デザイナー向けにデザイン原則を解説した「ノンデザイナーズ・デザインブックの書籍では、4つのデザインの基本原則として、”コントラスト“、”近接“、”反復“、”整列” を挙げています。

この記事では制作におけるデザイン知識だけではなく、平面構図を理解し良し悪しを判断するために「デザインコンセプト」、「レイアウト」、「コントラスト」の3要素に再構成して平面デザインを評価するポイントを整理していきます。

まずデザイン判断基準の1つ目は、デザインの目的や方向性を言葉で表すデザインコンセプト、2つ目は適切な伝達手段となる情報設計で躍動感やリズムを生むレイアウト(配置)、そして最後は情報構造の関係性と注意を惹きつけるコントラスト(強弱)の3点を説明していきます。

スクロールできます
平面デザインを判断するための主な3要素役割
1. デザインコンセプトデザインの意図を言語化
2. レイアウト(構成)視線誘導を施し躍動感を生み出す情報配置
3. コントラスト(強弱)理解を促す伝達手段や強調による情報の優先順位
平面構図を判断する3要素の基本ポイント

1. “言葉によるデザイン”「デザインコンセプト」

制作プロセスの理解と「言語化されたデザイン」の目的

まずは、制作側が一般的にどの様な流れで装飾としてのデザインを生み出していくかその流れを確認し理解を深めていきます。

ロゴマークやWEBサイトのデザイン制作などにおいて一般的な初期工程は、1.ヒアリング2.デザインリサーチ3.コンセプト設計が初期準備の手順となります。(※競合コンペなど提案までの時間が短期間の場合、1.ヒアリング、2.デザインリサーチは短縮され経験による仮説でコンセプト設計を行う場合もあります。)

具体的には、ヒアリングで問題点を整理して現状課題を抽出しビジネス要件を整理し、デザインリサーチで競合他社やその他の業界のデザイントレンドを整理し関連性を把握しながらデザインのコンセプトをあぶり出します。更に想定ターゲットに対する認識合わせを行います。

これら内部要因(要件定義)と外部要因(市場トレンドなど)を鑑みてデザインの方向性となる「デザインコンセプト設定」を制作側は検討します。依頼側がある程度の規模の組織であれば、プロダクトマネージャーやマーケティング部門でマーケティングメッセージをクライアント側で既に用意している場合があり、その内容をまとめた概要となるクリエイティブブリーフをオリエンテーション時に制作側へ渡しておきます。

クリエイティブブリーフが準備されていない企業の場合は、既に企業ロゴなどのVI(ビジュアル・アイデンティティ)やロゴの意味や配色などに関するCI(コーポレート・アイデンティティ)など自社を物語るブランド・ストーリーに関する背景を制作側へ伝えます。

広告宣伝に関連する制作の場合に関しては、広告を掲載する媒体の特徴や想定ターゲットに合わせた方向性(スタイル)の擦り合わせが重要になります。洋服に例えるならば、ビジネス、カジュアル、またフォーマルなど場面や状況などのTPOに合わせたスタイルの調整が求められるように、デザインも掲載媒体や目的に合わせてたデザインの微調整が必要になります。

そもそもデザインとは本WEBサイトで伝えてきましたが、単なる表層の装飾だけでなく、企業の想いや目的に合わせて適格に伝達する手段であり問題解決のための施策でもあります。

どの様な意図で配置や配色、またはフォントなどの形状要素をどう利用するかは、言語化されたデザインコンセプトに基づいて制作の設計を施します。このコンセプト内容を比較・検討することでデザインの意図を把握できます。

そのため競合プレゼンなどでは、各制作会社に提案内容のコンセプトシートを用意してもらいデザインの意図を文章でも説明を依頼します。それにより深く錬られた課題解決としてのデザインか、表層の装飾性に傾倒したデザインかの最初の判断材料に成ります。

特にWEBデザインの現場は急激に発展し人材の質も多様にて、指示された通りに造形したり感覚的なデザインをするデザイナーも見受けられました。

またプログラミングの知識も昨今のWEBデザイナーには必要となり、プログラマー出身でWEBデザインを兼任する制作会社もあります。いずれの場合でも、言語によるデザインコンセプトを提示できれば、勿論、問題はありません。

まずはデザイン提案の骨子となる “言語化されたデザイン” のコンセプトを確認し、企業側の伝えたい想いに沿っているか、または、付加価値として新たな方向性を付け足したストーリー提案が有るかなどデザインの背景を論理的に言語化した説明を確認することでデザイナーの翻訳能力(伝達技術)を計ることが可能となります。

2. 「レイアウト(構成)」の基本原則

視線の流れで情報理解を補うシステム

平面デザインの場合、読み手に自然な視線の誘導を施すことが重要になります。優れたデザイン構成とは、利用する媒体ごとの特徴を踏まえた情報設計(インフォメーションアーキテクト)が施こされています。

例えばスマホのアプリケーションなど、インタラクティブ要素があるナビゲーションのボタン類などのユーザーインターフェース(UI)設計では、行動心理学をベースに情報設計の専門知識を用いて情報の配列を論理的に決定していきます。

レイアウトの基本として、整列にはいくつかの原理原則があります。書籍や雑誌の紙媒体であれば、文字を読んで貰う為の縦組み横組みなどがあるのはご存じの通りです。

文字組における代表的な視線の流れ:「Zの法則」と「Fの法則」

WEBサイトにおける文字組は横組みが一般的ですが、これはひとの視線の自然な動きを補うための「Zの法則(Zの流れ)」と「Fの法則(Fの流れ)」の2種類が存在します。

レイアウトの原則で、視線の自然な流れを生み出す、情報検索の「Zの法則」と詳細内容の理解を行う「Fの法則」が存在するイラスト。
WEBサイトにおける代表的な2種のレイアウト例

人間の眼は横並びに位置しているため、情報を把握するにあたり眼は左右水平の動きが自然であることからこの法則が唱えられました。

例えばWEBサイトの場合、ロゴの配置は一般的に左上に置かれている理由は、Z型でもF型も情報を読み取る視線の基点が左上となります。そこは注力されやすい重要な場所であるフォーカルポイントとして、サイトの表札としてロゴを配置します。

配置による視認性と情報分類

平面デザインにおけるレイアウト(配置)の目的を、視認性を高めて情報を適切に伝達するための情報分類とここでは定義します。ノンデザイナーが制作されたデザインを判断するために知っておくべき基本の配置(レイアウト)原則の中で、「2.1. アライメント(整列)」、「2.2. グループ化(近接の関係性)」、そして「2.3. スペース(余白)」の3つを説明します。

このレイアウト3要素を知識として持っておくだけでも、ノンデザイナーが客観的にデザイン判断時における観察眼を補う効果が期待出来ます。

2.1. アライメント(整列):一貫性を持たせ視認性を高めバランスとリズムを生み出す

文字組みにおいては、左揃え右揃え中央揃え左右均等の4種類の型があり左揃えが一般的によく使われます。左揃え以外は、平面構成に動きを持たせたり装飾的に画像などと並べて利用する時に利用します。

特に中央揃えには、ポスターやチラシなどで目立たせたいコピーや文章などの掲載を中央揃えにして視線を集める役割があります。また写真や図版を文章と並べて掲載する場合には、文章ブロックの側面を面(ツラ)と呼び、配置の並びを合わせさせることで構図に統制や安定感を生み出します。この眼に見えない整列線をガイドラインとして配置を整えていきます。

レイアウトのアライメント(整列)原則のイラスト。可読性を高める文字揃えと視認性に配慮した配置のシステムが存在する。
デザイン要素を揃えることで、視線の流れを安定させ視認性や可読性を高める文字組の基本とレイアウト整列システムのイラスト

文字組の面(ツラ)合わせは媒体ごとに統一させることで、視線の導線が安定させ潜在的な可読性を醸成する。

それに対して、写真やイラストは平面構成にリズムを生み出す役割として左右に振り分けるような配置の工夫もあります。これらは見る者にどのような印象を持たせたいか、前述のデザインコンセプトを基にデザイナーは配置デザインの情報設計を施していきます。

参考までにレイアウトの専門用語で垂直方向の配置を「カラム(段組)」と言い、更に各要素間の空きなどの配列を格子状のガイドライン線を引いた配置構成を「グリッドシステム」と呼び、統一した平面構成や配置合わせに利用します。

これら配置ルールを設けることで統一された美しいレイアウトが可能になります。昨今のWEB媒体では、スマフォ画面の縦スクロールを意識したシングルカラム(1カラム)が主流で単調になりがちな配置構成をテキストや画像の装飾要素の活用などで視線を惹きつける工夫が重要になります。

優れた平面デザインとは、目に見えない整列システムが施され無意識に感じとる統一感と心地よい平面構成のリズムによるバランス感覚を備えている。

2.2. グループ化(近接の関係性):距離による類似性の訴求

心理学で人間の知覚の傾向を示した「ゲシュタルト原則」で複数の要素からなる情報を全体で捉えながら、共通項を見出してパターン化して認知する癖があると言われています。この知覚の癖を利用し配置設計を行うと受け手に誤解の少ない適格な情報伝達が施せます。

そのゲシュタルト原則の中でも近接の関係性では、近くにある複数の要素はグループとして認識される傾向が有ると言われます。

例えばWEBサイトの平面デザインでは、操作を司るメインナビゲーション要素は近い位置に配置させることでグループ化して視認性と操作性を高める工夫が施されています。

デザインリテラシーにおけるレイアウトの原則では、「近接の関係性」とは同類の情報は近くに配置することで視認性や情報の明白性を高めるイラストの例。
デザインリテラシー:近接による情報の関係性のイラスト例

特に文字組においては、余白を利用して情報のグループ化を施す仕組みを採用し情報設計において閲覧者の理解し易すさへ配慮を行う。

2.3. スペース(余白)の活用:印象を左右し雰囲気と余韻を醸成

余白はデザイン要素の周辺や間隔スペースを指し、この間隔が狭まれば密集が発生し印象が大きく変化します。先ほどの近接の関係は、意図的にこの密集状況を作り情報のグループ化を施し視認性をも高めています。

逆に間隔を広くとると密集性が緩和され開放感が生まれる反面、バランスを誤ると間延びした不安定な印象も発生します。特に一般の方が書類作成をする時など、情報を過剰に詰め込み視認性が損なわれた論文のような書面がよく見受けられます。

近接の関係性と同じく余白は情報を区分けすることで関係性や空間のバランス感覚を維持します。プロのデザイナーはデザイン要素間の余白間隔を統一するだけでなく、情報の関係性や優劣を考慮したデザイン構成(視線の流れ)を余白の比率などから平面構成を考え出します。

レイアウトの原則で「余白」の役割のイラスト:視認性、可読性、そして平面から感じる感情を生み出す印象を操作するイラスト例。
一貫性ある適切な余白を持たせることで視認性を高めて、明瞭な情報の構造化を示すイラスト

良いデザインには、余白の使い方で平面構成のバランスと一貫性を保った空間演出で視認性や可読性を高めつつ、情報の構造化を施している。

3.「コントラスト(強弱)」

視覚による情報構造のコントラストや躍動感を演出

前述したように平面デザインとは、伝えるべき情報をどのように伝達するか情報構造の設計とも言えます例えば書面の場合、見出しと本文のフォントサイズや太い書体で本文と差別化をすることで視線を自然に誘導する仕組みを施します。

更に色を利用し重要な要素を強調することがあります。特にモニター越しのデジタル環境では色弱のひとの利用も考慮したアクセスビリティの観点からは、色だけに頼らずに形状でも目立たせる工夫が求められています。また単調な雰囲気を払しょくするために図形などの記号を見出しや背景に利用することで、空間にリズムを設けて視線誘導を補う工夫を施します。

レイアウトの原則「コントラスト」の役割イラスト:情報に視覚的なメリハリと優位構造を示し視線誘導を自然に行う。
コントラスト(強弱)とは、情報の捉える順位を自然に伝えるための視線誘導を補助する役割や視認性を高める

これら形状、色を駆使して情報コントラスに強弱を付けて情報の優先構造を整理し視線を自然に誘導しながら伝えたいメッセージが適切に伝わる仕組みを施すこともデザイナーの重要な仕事です。

ノンデザイナーがデザインを見定める際に、情報の優位が視覚的に確立されている視線誘導の工夫が施されているかを意識する。

このようにひとの心理や視線の動きなどの行動原理を考慮し、「認識のしやすさ」や「明白さ」を損なわれないように配慮することはデザインにおける基本であり、レイアウト(配置)はこの原則が重要になります。

この平面デザインの原則は、普段の書面や資料作成に意識してみるだけで読みやすさや伝達力を増すことができます。感性や感覚に頼らないデザインリテラシーとは、伝達手段の観点からもビジネスでも必須な能力 であります。

デザイン構成におけるバランスの確認方法

最後にノンデザイナーの方がデザイン構成のバランスの良し悪しを判断をする時に役立つ簡易的な方法を紹介します。デザイン構成を情報の固まり単位で認識するやり方です。

具体的には、眼を半分閉じた薄目の状態で離れた位置からデザイン全体を眺めます。こうすることでテキストや画像などデザインの詳細な要素がぼかされつつ情報の固まり単位で捉えられ、情報配置のバランスが認識しやすくなります。

この方法は留学時にデッサンの授業で構図を確認する技法として教わり、その後、デザイン構成を自分で確認する際にも活用してきました。

この方法でデザインを確認すると、余白の統一性の確認は勿論、意図的なアシンメトリー(非対称)の配置の場合における要素ごとのバランス関係や視線の流れがどの様に組み立てられているかなど、詳細なデザイン要素に囚われること無く構図の全体構造を把握しやすくなります。

デザインを全体で捉え直すことで、デザイン構成の良し悪しの見立てを客観的かつ瞬時に見極めることが可能となる。

まとめ

伝達力を補うデザインリテラシー

今回は平面デザインの良し悪しを判断する見極めのための3要素:1.デザインコンセプト2.レイアウト3.コントラストに絞り解説しました。いずれも、適格にメッセージを伝えるための情報整理と関係性を提示する仕組みでありデザインの基本の作法です。

デザインとは感性だけでなく、本来は問題解決の手段であり伝達すべきメッセージを分かりやすく伝える技能でもあります。ビジネスにおいてデザインの良し悪しを見分けるデザインリテラシーを高めておくことは、効率よく意志決定を早める資料作成などにも活用できます。

モノとコトの両方に価値が求められる新たな時代で企業の想いを適格に伝え共感を生み出すためにも、デザインリテラシーをビジネスシーンで誰もが身につけておくことが重要と考えます。それはコミュニケーションの質や幅にも拡がりを生み出しより適格な意思伝達を可能とするからです。

最後に、デザインの3つの確認ポイントを掲載しておきます。社内用の資料作りや書類作成における平面構成のチェック項目としてもご活用ください。

まとめ:【ノンデザイナーが知るべき平面デザイン3つのポイント】
  1. デザインコンセプトは、伝えたい想いを適切な表現で語られている(デザインの言語化)
  2. レイアウトとは、視覚的な情報優位を確立し自然な視線の誘導を施されている
  3. デザイン要素の整列は、配列システム(グリッドシステム)などでバランスと統一性や一貫性を備えている

更にデザインを理解したい人に向け外部サイト&参考書籍

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イメージ画像|ノンデザイナー向けにビジネスに役立つ平面デザインの見立て方(デザインリテラシー)を解説します。

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