アイデアマンの自由な発想力を身につけるために|創造と発想の関係性

発想エンジンの回転力を維持する為には、エネルギーとなる情報と豊富な知見が重要となる。
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アイデアを生み出す着眼点である発想力は、問題解決やサービス・プロダクトやシステム開発、、そして新規事業など新たな価値や企画を生み出すために必須の能力。いざアイデアを思索しても準備なくしては簡単にことが運ばないのも事実。今回は価値創造を導くための発想力に必要な5フェーズ構造と支えとなる2要素を解説します。

目次

発想力とは

アイデアマンの特徴と源泉

発想力という言葉を耳にすると「ひらめき」や「直感」を思い出すひとも多いのではないでしょうか。アイデア出しを生業とする広告業界に在籍していたときは、アイデアを出すスピード&総量が達人レベルの先輩方が多く周りに存在しました。その達人に共通する特徴に、多彩な趣味を通した実体験、それら知見の土壌から生み出される“生きた”発想力でした。

そのとてつもないアウトプットを生むために、情報の引き出しを多く維持するインプット作業を時間が無い中でどう蓄積していくのか。

自身でもネットだけでなく、店舗や街などあらゆる情報ソースに触れつつひとの話しに上手く便乗し話題を膨らますなど、一緒に話しをしているだけでも時間が直ぐに過ぎてしまうことからも裏付けされていると感じられました。

それは普段からあらゆる方向にアンテナを張りめぐらせる知的好奇心であらゆる情報を面白がれる姿勢とも言えます。

日頃から気になる情報のインプット作業を気になる”ネタの種”として自分の記憶の土壌に種を撒いておき備蓄するような感覚。

それが知識の地下茎として根を張りめぐらせておき、ある瞬間に発芽という発想に繋がる感覚と推測します。いずれにせよ、日頃より社会や周囲への観察や意識を向けておくインプット作業の準備が重要と感じます。

発想はアウトプットを伴う実務活動

因みに発想が豊かなアイデアマンと博学なひとの違いは実務家と評論家のような関係であり、発想はなにかしらな出力作業(アウトプット)が伴います。

アートなどのクリエイティブ系であれば造形制作や音楽の楽曲など、ビジネスではサービス開発や改善策など具体的に形成する創造ステージに導くことが発想力の役割とすれば、想像や妄想で終わらない実効性が発想には内包しいると考えます。

また発想力が弱いとありきたりな創造のアウトプットしか生み出せない原因となります。それはある意味、エネルギー不足でエンジンを十分に回転させられずに発想の加速(飛躍)できない状況と言えます。

その燃焼エネルギーとなるのが過去の体験や知識という知見の入力情報でありアイデアの原材料です。繰り返しになりますが豊富な経験や知識というエネルギーが発想力というエンジンを回し創造フェーズを加速させると考えます。

言い換えれば発想力とは、知識や経験などの知見を基に具現化させる発想の着眼点であり目の付けどころを見出す能力。それに対して、頭の中で考えを膨らませる「想像力」と分けて考えます。またこの目の付けどころである着眼点は、何を据えるか(What)だけでなくどう見るか(How)が重要と考えられます。

例えば技術開発の世界を例にとれば、新たなテクノロジーはデジタル環境や情報の浸透により差別化が難しくなり、模倣されやすい状況にあります。

ビジネスにおいて最新テクノロジーを導入してどのような新たな価値提供や意味の創造を可能にするか、他と異なる視点を生み出す発想力が生き残りをかける分岐点です。それは競争力となり差別化要因でもあります。

価値変換の発想における商品開発の事例

ダイソンの掃除機の開発における著名な話しで、ゴミの貯まる円筒状のタンク部分のデザインを透明にしてゴミが吸い込まれるサイクロンの状態を可視化し、不快なゴミの存在を掃除の達成感へ価値変換してヒットを生みました。

当初はダイソン本社の開発会議で「ごみの見える掃除機」に反対の声が経営陣やマーケティング部門からも挙がったが、最後は社長のダイソンが透明化を決断したと伝えられています。この発想の転換は、技術力だけでなくヒットを生み出す発想力の例と言えます。

彼(ダイソン)が一番つくりたかったのは「掃除をすること自体の楽しみ、喜び」を感じられる掃除機だという。それを、あの透明のごみタンク(クリアビン)で表現したわけである。(中略)ごみが掃除機に溜まっていく様子が見える。「15分前に掃除したばかりなのに、また掃除機をかけたらこんなに溜まったよ」と人に気づかせる。それによって掃除が楽しくなる。

出典:奥山清行. ビジネスの武器としての「デザイン」 (Kindle の位置No.612-615). Kindle 版.祥伝社 2019年

同じような発想は、電気髭剃りメーカのグロバールブランドであるブラウンのフォーマットCM展開として剃り残しを街頭インタビュー型式の模様が過去に放映(1981年〜2003年)されました。

その内容は、朝の通勤時間に既に髭を剃ってきた男性にブラウンのシェーバーを試してもらいどれだけ剃り残しがあるかに驚くことで技術力をアピールする手法です。

単に技術力を直接的に訴求するのでなく、剃り残しの髭を見せてCM閲覧者にも驚きを促す発想の転換でより鮮明な印象を創造した例でした。このようにコミュニケーション展開などにも新たな価値転換の発想が役立った例となります。

発想の構造と関係性

ここからは実際に発想を創造へ導かれるかを全体構造から確認していきます。まずは基本の5フェーズ構造を紐どいていきます。後半に発想を育む2組の要素を解説します。

創造に導く発想の構造|5フェーズの図
発想の構造化の図例

創造に導く発想の5フェーズ構造

知識・体験

全てのアイデアの基となる発想のエネルギー源の貯蔵庫。情報の引き出し多さと深さで情報同士の不意の化学反応でアイデアの飛躍を導く。

ポイント:多くの知識や体験の引き出しが「ひらめき」や「直感」の源にもなるアイデアの土壌

観察

対象のユーザーやそれを受け入れる社会などの現状を把握・理解する。

ポイント:対象はひとだけでなく周辺環境や社会も含まれる

洞察

深層に潜む課題などを想像力や知見も用いて新たな発見や気づきにより発想の兆しを見出す。

ポイント:問いの立て方で視野が狭すぎると発想に広がりが生まれずに無難な解にしか到達できない

発想

アイデアの発火点であり、知識や情報を融合させて創造を加速させるアイデアの方向性。

ポイント:意図しない複数の観点や情報を繋げることで規格外の斬新なアイデア創出も可能となる

創造

発想で導いた着眼点に肉付けしアイデアを具現化し整形する工程:視覚化や体系化などを施す

ポイント:アイデアを形成するため各ステージ間の往来により確認や問答を繰り返してアイデアを切磋琢磨する

例えば改善など既存の商品やサービスに変わる発想が必要な場合は、この5つの流れのままでも利用します。全く新たな創造の場合は、「観察」は、仮説立案の為にアイデア検証としてユーザーリサーチとして後に改めて実地する場合があります。また「洞察」と「発想」は、検証の往来を繰り返す場合もあります。

この5フェーズは状況に応じて流れも変化し、必ずしも直線的な工程ではありません。

発想力を支える2組の要素

発想力を適切に機能させるために、「入力と出力」、「想像と思考」の2組の要素の支えが必要になります。それらの関係性を改めて見ていきます。

創造に導く発想の5フェーズと発想力を育む2組の要素の関係図
「入力と出力」、「想像と思考」のサポートによる発想の関係図

1. 入力と出力

冒頭にも伝えましたが、いきなりアイデアを捻出することは燃やす薪を用意しないで火を起こしはじめようとする行為と同じです。発想と創造がアイデアを出力する行為と捉えると、その前には準備としての何かしらの入力という行為が必要になります。それが前述した経験や知識のストックや観察から導く気づきの情報インプット作業です。

観察は意図した情報収集ですが、普段の体験や知識は特に意図せず行う収集行為です。冒頭のアイデアマンの人たちは、まさに多趣味で自由な心構えは子供のような好奇心を兼ね備え日常的に入力活動を楽しみながらいつ何時にも発想の大会に備えるアスリートのような状態でした。

ただいきなり多くの趣味を見つけようとしても困難を極めるだけなので、自分の興味の対象を様々な視点で捉え直してみたり抽象化して視野を広げる工夫も有効と言えます。

こうして貯えられた知見や経験の点の拡がりが繋がり、新たなアイデアを創出する瞬間が生まれる素地ができます。発想とは、情報の入出力の工程でアイデアの方向性を見つける行為と言えます。言い換えればアイデアは思いつきなどの受動的な行為ではなく、能動的に見い出す活動です。

またアイデアの出力に向けた作業としては、発想の種を言語化しグループ化をポストイットを利用して視覚化を行うKJ法などの方法があります。

この視覚化の出力行為が、アイデアの種を構造化し創造に向けた情報整理をするのに役立ち、アイデアの具現化としての出力へ繋げていきます。

知的好奇心と観察の情報入力が、発想と創造のアイデアの出力を支える。

2. 想像と思考

発想と創造を実現するために必要なもう一つの要素となるのは、想像と思考です。情報の入力後の洞察で情報を繋ぎ問いを立てて気づきを導く為に、予測や仮説設定には想像力が必要になります。

また論理的な思考やクリティカル思考など客観的な観点での検証や考え抜く思考が重要なポイントです。主にアイデア創出の基本プロセスである「発散と収束」の関係を「想像と思考」とも言い換えられます。

※「発散と収束」のダブルダイアモンド構造は「ブレインストーミングで役立つコツとアイデア出し厳選5テクニックで詳細を紹介しています。

昨今のデザイン思考やアート思考も改善策や新たな価値や意味を創出する場合、共感や気づきを高めるための想像力や適格な判断や理解を促すための論理思考や批判的視点が必要になります。

「想像と思考」の関係性とは、「予想・仮説検証・考慮」でもあります。予想や仮説を立てるには想像を働かす必要があり、そこに思慮深い思考が伴わなければ空想で終わります。

つまり柔軟な発想や鋭い洞察には、目に見えない側面を想像しながら仮説と検証を繰り返してアイデアを強靱にする役目より発想力を支える必要な要素となります。

未知の領域を思い描く想像とその検証や考えを深める思考の両輪でアイデアを切磋琢磨する。

主な5つの着想と情報量の増やし方

書籍やネット、自己開発セミナーなどでも発想力を鍛えるテクニックは様々な方法が紹介されています。多くは新たな物事への挑戦や慣習的な行動を変えたり、また抽象化して物事を考える思考を身につけるためにデッサンや日記などで観察力と表現を高めるなどの方法が紹介されています。

ここでは実際に発想を起動するための主な5つの着想と発想の基板である知識や情報入力を増やすトレーニング方法に特化して紹介します。

5つの着想ポイント

着想を豊かにするには自由かつ客観的な視点で、当たり前なことへも疑問を抱いたり「もし…なら」など仮定を立てる姿勢などが思考をストレッチし柔軟なものの見方へ整えます。実践で直ぐに役立つ主な5つの着想を紹介します。ポイントは、視点をスライドさせて小さな驚きを発見することで。

1. 枠組みを変える

既存ルールや慣習を見直したり物事を違う視点から捉え直す、リフレーミングと呼ばれる手法。例えばネガティブをポジティブに捉える(“ピンチはチャンス”etc)など真逆に発想する。

ユーモアは、得てして日常の中に面白さを見出して笑いへ変えるリフレーミングの手法。また視点を主観と客観で切り替えると捉え方や見え方も変容します。

例:売れ残り商品を「“限定○○点の販売”や“残り1点もの”」として価値変換を施す。             

2. 日常への疑問と問いかけ 

発見に伴うのは疑問です。地動説も万有引力の法則も疑問を投じることで新たな発想の扉を開けました。疑問を感じるためには、客観的で俯瞰した大局観の視点が必要になります。

放送作家の山名宏和氏の著書、「大人の宿題ー発想以前の発想法」で述べているのは、解決策だけがアイデアでなく「いい疑問を作る」こともアイデアを生み出すのに重要であると伝えています。

「いい疑問」とは誰もが共感できるテーマを深掘りして考えていくと知らない物事を発見する切っ掛けにもなると説いています。誰もが当たり前に思うこともあえて疑問を投げかけて問いを広げ、新たな着想を発見するテクニックです。

例:外国人のような視点で日本文化を見つめて新たな発見を促す。(物事を第三者の視点で再考する)

3. 関連づける

似ているものを関連させたり類推して、発想の着眼点を広げる方法。自然界の形状を模した商品開発は盛んに行われています。例:カワセミの頭部を模して空気抵抗を抑えた新幹線、サメの肌の構造を模したスイムウェアーなど

また関連を具体的に発展させるには、連想で発想を繋げたり他のものに喩える(比喩する)ことで新たな着眼点を見出す切っ掛けが生まれます。

例:マンダラアートやマインドマップのツールを利用して連鎖反応でアイデアを広げる。

4. 異質を掛け合わせる

関連づけを発展させて、敢えて異なる物事を掛け合わせ抽象化で繋がりを見出し発想を飛躍させる手法。カードなどに単語を記載しランダムに選び意図しない組み合わせから新たなアイデアを導く方法です。

ポイントは意図しない単語を無意識に掛け合わすことで固定概念を超えた発想を強制的に導き意外性あるアイデアの創出を期待できます。

例:ソフトバンク社の孫正義氏が留学中に、ランダムカードで法で想起した「音声読み上げ辞書」の発明が後にシャープに売却された逸話など。

5. 要素を分解する

漠然とした問題点を、プロセスやタスクなど細かな要素に分けて考える事で着想を導き易くする手法。

料理を例にして考えると手際よく時短料理をするためには、調理のプロセスや素材単位の下ごしらえなどのタスクを工夫することで作業効率が見込めます。

例:時間の掛かるつけ込み素材は先に準備し、つけ込んで居る間にその他の作業を同時に進めるなどタスクと調理プロセスを細分化して最適化を図る。

どのように分解するかは要素となる大項目の軸から考えていきます。商品の売上げで考えると、「売上げ」=「商品の魅力」×「売り方」の基本となる構造が考えられます。

こうした分解作業と因子同士を掛け合わせることで新たな発想を導き易くなります。着眼点がなかなか思いつかない場合は、このように要素の因数分解を試すのも一つの方法です。

例:「商品の魅力」は、ニーズ、耐久性、商品寿命、季節性などの要素へ細分化が考えられます。同様に「売り方」も、ターゲット設定や販売チャネル、広告手段などの因数に分解してその他の要因と組み合わせて取り組むべき施策アイデアを発案したりします。

この他にもSCAMPER法(読み:スキャンパー)などの「たら・れば “if “」 活用でアイデアを強制発想する手法があります。詳しくは”ブレインストーミングで役立つコツとアイデア出し厳選5テクニック“のSCAMPER法 で解説していますので、そちらの記事も合わせてご確認ください。

参考|SCAMPER法リストの一覧

  1. Substile:「代用」できないか?(時間、場所、方法に置き替える)
  2. Combine:「統合」できないか?(別の用途や他製品・サービスと組み合わせる)
  3. Adapt:「応用」できないか?(他業界や類似のものに当てはめる)
  4. Modify:「変更」したらどうなるだろう?(サイズや要素を変える)
  5. Put to other Uses:「他の使い方」ができないか?(対象、目的を変える)
  6. Eliminate or Minify:「排除・縮小」できないか?(ルール・プロセスを無くす)
  7. Rearrange or Reverse:「並び替えや逆」にしたらどうなる?(プロセスを変える)

情報量を増やすトレーニング法|セレンディピティ体験

ここでは日常の情報インプットを増やす方法に絞って紹介していきます。ポイントは、情報との偶然の出会いで情報量を増やすセレンディピティ体験です。

※右端の▼のマークをクリックすると説明文が現れます。

まとめ

中国・北宋時代の欧陽脩(おうようしゅう)という政治家が文章を推敲するのに最適な3つの環境を説いた「三上(さんじょう)」はインスピレーションを育む環境について伝えられた有名な言葉です。

  1. 馬上(ばじょう)|馬で移動しているとき
  2. 枕上(ちんじょう)|就寝前や目覚めの枕の上
  3. 厠上(しじょう)|厠=トイレで用を足している時

リラッスできる環境や無心に慣れる状態は、脳も自由な発想を紡ぎ易くなる例として現代でも馬上などは散歩にも置きかえられるでしょう。

今回は組織内でアイデア会議を行う時などの限られた環境でも発想力を起動するための構造関係や着想、そして情報収集のテクニックを紹介しました。

発想力とは、感性だけなく入力情報の量と種類、そして着想のポイントで入出力行為を繰り返すことで自由で柔軟な発想を誰でも生み出せる技術であると考えます。

疑問を繰り返すことであまのじゃくな印象を周りに持たれてしまうこともありますが、基本は対象へ自然な知的好奇心を抱き面白がりながらストック情報や実体験をまずは貯めていく。そして直感や大局観、更に論理的思考で発想を多角的に形にすることで規格外のアイデアを創出することも可能と考えます。

何事にも面白がる知的好奇心や問題意識を常に持つ心構えが、自然と情報を呼び込むことになります。まずは日頃から気になる情報の探索から始めてみることをお奨めします。

まとめ:【アイデアマンのような発想力を身につけるために】
  • 発想力とは、具現化するアイデアの着眼点であり目の付けどころを見出す能力
  • 情報の引き出しを多く維持するインプット作業は知的好奇心のアンテナに支えられている
  • 多くの知識や体験の引き出しが「ひらめき」や「直感」の源にもなるアイデアの土壌
  • 意図しない情報を繋げることで規格外のアイデア創出も可能となる
  • アイデアは思いつくなどの受動的な感覚ではなく能動的に見つけ出す活動
  • 偶然の出会いがもたらすセレンディピティ体験で情報の幅と深さを増して知識や体験の量と質を高める

参考文献

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