ビジネスで一歩先の発想を導く「問いを立てる」ヒント

発想をさらに深めて新たな視点を導く問いの立て方の型とは?

変化の激しい現代では、固定概念に縛られずに新たな発想を導くために良い「問い」を立てることが求められています。ビジネス書でもテーマとして扱われる書籍を多く目にします。

今回は、問題解決や新たなアイデアの発想などで新たな視点を導く「問いを立てる」ヒントを探索していきます。キーワードは、「深めて磨き高める思考のストレッチ」です。

目次

問いを立てる」とは

「問い」の狙い

ビジネスシーンで問題解決を検討する際に、事前に取り組むべき問題設定や前提条件を「問い直す」ことを実施することがあります。

企業の例では、トヨタ自動車の社内で改善活動において実践されている「なぜ」を5回ほど問い直すことで奥底に潜む問題の本質を見出し抜本的で根本的な解決策を探索する「5 Whys分析(なぜなぜ分析)」が有名です。

また、「問い」を続けることで既存のアイデアに安住せずに発想をより深め独創的なアイデアへ練り上げることも可能です。さらに、チームでアイデアを検討する際に、固定概念や思考停止を乗り越える効果も期待されます。

つまり「問う」行為とは、周囲や環境に関心を向ける切っ掛となり問題意識の入口として思考を活性化し深化させる役割と考えます。

「問い直し」で認識をアップデートする

社内で「問い」が必要となる主な場面は、ビジネス課題の現状分析や解決、改善活動や新規事業の開発などの企画立案が挙げられます。特に社内で提案を行う場合、注意すべき点は自社で認識されている現状の問題や課題が必ずしも時代に見合った論点とは限りません

なぜなら、企業文化は過去の成功体験を礎に形成せれたり、業界の永き慣習で思考が膠着していたりなど更新されることがない思い込みの死角となる「思考の囚われ」の現象が起こる可能性があるからです。

さらに、このような場合ではいきなり解決策となる打ち手から検討しがちですが、初動で前提条件を見直して問題設定をアップデートすることで、見落としていた新たな論点を発見する機会にもなります。

仮にアップデートを行わないで既存の問題のままで計画を進めた場合、問題の本質が現状と乖離していた場合は計画が思うように進まず頓挫することも起こります。

ある意味、古い海図で大海原へ航海に出るような行為です。まずは、問題の前提条件などを振り返りながら、事象の前提条件などを「問い直し」で現状と照らし合わせながらプロジエクトの目指す目的や理解を深める問いを立てます。

ポイント

前提条件や問題を問い直すことで、思考をアップデートし論点のずれや漏れがないかを再確認する

次に、基本の「問い」を整理して解説していきます。

「思考の囚われ」を解く思考のストレッチ

最初に、基本となる3つの「問い」の概念を見ていきます。

  1. 理解を深める「問い」:So what?
  2. 論点を磨く「問い」:Why so?
  3. 確証を高める「問い」:True?

この3つの「問い」:So what?=それは何か?(実体の探求)、Why so?=その意味は?(認識の一致)、True?=事実に基づいているか?(証拠の確定)は、クリティカル思考(=批判的思考)でも取り上げられる本質を見出す「問い」の基本型です。※本稿では、クリティカル思考の実践法ではなく「問いの立て方」の本質やヒントを解説していきます。

この基本概念の「問い」を繰り返すことで事象の理解を深め、矛盾点や見落としていたリスクの発見など、思考の死角を事実に基づいて再整理して解決までの筋道を描いていきます。

新たな発見を促す思考のレンズ

「問い」という行為は、物事の本質を見据える思考のストレッチとも言えます。それは、前述したように思い込みなどの「思考の囚われ」から解き放し視野を拡げて事象の本質や施策の目的・目標を再認識する役割があるからです。

別の言い方をすれば、視野を拡げて物事を多角的に見渡すことで問題の新たな切り口や論点に気づくこともあります。

例えば、一休さん(一休宗純)の逸話で、「この橋、渡るべからず」という看板に対し橋の中央を歩くという機転をきかせた話は多くの方がご存じでしょう。

とんちに限らず思考の視点を切り替える行為は、カメラで言う広角や望遠など視写体に合わせてレンズ交換を施す行為と同様です。「橋」と「端」という同音異義の共通点に着目する展開は、自問における内省の「問い」で多角的でユニークな着眼点を導き出す例です。

これは、「問い」で問題の論点の輪郭を整えながら視野を拡げて新たな発見を促す発想法と言えます。こうした、「問い」で取り組むべき論点の解像度を高めながら視野を拡げて思考を発展させるプロセスを次項で確認していきます。

ポイント

「問う」ことは、視野を拡げ事象の捉え方である視点を変え新たな解釈や洞察を浮かび上がらせる

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