デザインの重要性– 想像を駆使して新たなビジネスの一手を創出 –

正解がない時代に課題を見出す能力

冷戦終結後の1990年代以降から2000年代初めにおいて、新たなテロ多発における米国の軍事用語として「VUCA(ブーカ)」が生まれました。その語源は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた略語です。

2010年代に入ると金融不況など影響などビジネス業界でもワードがささやかれ始めました。今もなおパンでミックス、自然災害や紛争など想定外な出来事が起こる状況下で、従来の思考・行動だけでは太刀打ちできない秩序と混沌のアンバランスが現実化しています。必要なのは、当たり前を疑う深い考察力、それら既成概念に縛られない自由で大胆な発想と行動、そこから導く見えない新たな課題の発見です。

「適応」する力を磨く

多様性と柔軟性

ダーウィンの「進化論」における環境に適応することで自然淘汰を免れ種を残す可能性を高める考えは、企業存続を考える中で誰もが思いをはせるフレーズかもしれません。ここではダーウィンの発言自体の真意を論点とするのではなく環境に適応し易い生物の性質がどのようなものであるかが、企業継続のヒントであると考えます。

東北大学 生命科学科、千葉 聡教授「進化のからくり」の著者で、進化生物学の観点から変化に適応し易い性質とは多様性と冗長性ある遺伝子ネットワークをもつと述べています。

常に変化する環境に適応し易い生物の性質とは、非効率で無駄が多いことなのである。これはたとえば、行き過ぎた効率化のため冗長性が失われた社会が、予期せぬ災害や疫病流行に対応できないことと似ている。

引用元:”誰もが知っているダーウィンの名言は、進化論の誤解から生じた” 

デザイン本来の役割を考えると、固定された視野でなく多様で柔軟な視点(マルチアングルの視点)を持つことで観察力や洞察力が磨かれ本質を捉えて市場変化に適応できる発想の取得を可能にすると考えます。

それでは、そのデザインを持ってして現代のビジネスでどの様な価値を生み出せるのでしょうか。

デザインの本質

“デザイン”という言葉を耳にすると、多くの人が先ず思いつくのは、ファッションやグラフィック(広告)、そしてプロダクトや建築などの装飾美や意匠(形・色・模様など)を想起するでしょう。勿論、間違いではありません。

それだけがデザインの言葉の本質ではありません。狭義の意味の装飾や“カタチ”を生み出す事だけでなく、広義においてサービス、プロダクトの背景に潜む問題を解決する意味を兼ね備えているのです。

デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。また、デザインとは具体的な問題を解き明かすために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。

引用元:Wikipedia デザイン
デザインの語源、広義や狭義での意味の解説図。

競争力を整え実装するデザイン経営

モノからコトに価値が大きく変容する最中、ヒトが中心の感性に重きをおいた経営スタイルでビジネスを持続させる企業が注目されています。アップルスターバックスパタゴニアなど、ビジネス書で多くの事例が掲載され目にされた方もいるでしょう。

その様な企業がなぜデザイン思考やアート思考に注力しているか、一言で言い表せば、新たな価値を生み出す為には、テクノロジーだけではなく利用する側の“人間の感情や行動の理解”が経営の継続に必要と考えられているからです。

それによって繰り返される思考過程や観察から得た深い洞察力に基づいた魅力的なアイデアを具現化し、プロダクト/サービスへ昇華させらたのです。つまり、デザインとは起点となる目の付け所を生み出す思考法(システム)とアイデアの具現化(ビジュアル化)を繰り返す全工程を指します。それにより、人を引きつけるブランド体験(=UX: user experience)という一貫性あるストーリー(=競争力)を生み出しユーザーを取り込んで行けるのです。

本サイトでは、広義のデザインを通して経営継続や新たなビジネス創出、アイデアを生み出し具現化するさまざまな思考技術や関連する情報提供を配信していきます。